NaCl, NaBrおよびNaFといったハロゲン化物蒸気を微量含む1323Kの酸素中でのTiAl金属間化合物の高温酸化挙動を調べた. ハロゲン化物蒸気を含まない純酸素中では, TiAl試料の酸化増量は大きかった. この場合, TiAl上にはTiO2を多く含む厚いスケールが生成した. これに対し, 微量のハロゲン化物蒸気を含む酸素中では, ハロゲン化物の種類に依存することなく, 小さい酸化増量が認められた. この小さい酸化増量は, α-Al2O3から成る薄いスケールの生成に対応していた. したがって, 微量のハロゲン化物蒸気を含む酸素中では, 保護的アルミナスケールが優先的に生成し, これにより耐酸化性が高くなることがわかった. 微量のハロゲン化物蒸気を含む酸素中でアルミナスケールが優先的に生成する理由を熱力学観点から考察した. スケール/下地界面でのAlのハロゲン化とこれにより生じるAlハロゲン化物の酸化の繰り返しによりアルミナスケールが生成するというモデルが提案された.