抄録
ナフサ貯蔵円筒タンクの底板腐食損傷をアコースティック・エミッション (AE) を用いて調べた. 中心周波数が30kHzと50kHzのセンサをアニュラー板のテラスと側壁に設置してさび破壊によるAEをモニターした. 波形検査によって信号をノイズから分別した. 信号数は, 側壁センサによるAEよりもアニュラー板テラスに設置したセンサの方が多く, さび破壊の位置標定に使用された. AE信号の全イベントに対する割合はわずか数%であった. テラスに設置したセンサによって検出されたラム波AE信号に対して3つの音源位置評定法を用いて音源位置を推定し, 到達時間差決定精度に基づいて3レベルにランク分けした. タンク底板の第3象限の4箇所が腐食ゾーンに標定されたが, 2003年に大きな減肉の測定された位置から広がりつつあるように見られた. AEによる大型鋼構造物のコンディションモニタリングにおける将来の問題も議論した.