抄録
本稿では,高温の純水を輸送する炭素鋼配管に生じる異常減肉の特徴を述べる.典型的な事例として,美浜原子力発電所の事例を取り上げる.これは,この事例については原子力安全・保安院の調査委員会が行った詳細な調査結果が既にウェブサイトに公開されているので,残留肉厚分布や減肉箇所の鮮明な写真などが容易に得られるからである.その発生機構を説明するための二つのモデル,すなわち FAC(流れ加速腐食) モデルとマクロセル腐食モデルが検討された.後者はその発生メカニズムを合理的に説明したので,このモデルに基づいて管壁減肉の発生防止法が述べられた.また,減肉の進行を検出する方法も述べられた.