2007 年 56 巻 6 号 p. 259-264
非鋭敏化ステンレス鋼の高温水中における応力腐食割れのき裂進展挙動を低ひずみ速度試験により評価した.試験途中の割れ深さ及び割れ発生頻度を調査し,最大割れ深さの時間依存性を明らかにした.最大割れ深さを試験時間で除した値からき裂進展速度を求め,き裂進展速度に及ぼす材質の影響,環境の影響を調べた.その結果,18Cr-8Ni 系ステンレス鋼 (SUS316, SUS304, SUS347) のき裂進展速度は (3~6)×10-10 m/s とほぼ同等であった.温度は561 K付近でき裂進展速度がピークを示した.溶存酸素濃度および電気伝導度の増加によりき裂進展速度は増大した.SSRTにより得られる進展速度は従来の CT 試験で得られた進展速度に比べ約10倍の値を示した.