Zairyo-to-Kankyo
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銅管のマウンドレス型孔食
境 昌宏世利 修美
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2008 年 57 巻 4 号 p. 172-179

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抄録

我が国で「マウンドレス型孔食」と呼ばれる新しいタイプの銅管孔食が発見されてから約15年が経つ。この孔食は従来のI型やII型孔食と異なるいくつかのユニークな形態的特徴を持つ。第1に孔食入口を覆う腐食生成物のマウンドが存在しないことである。第2に孔食入口部周囲にガラス状の緑青が存在することである。第3に孔食の直径が1 mm以下と小さいにも関わらず深いことが挙げられる。著者らは,マウンドレス型孔食が頻繁に起こる地域でのフィールド試験により,この孔食を再現することに成功した。ラボ試験において,数種の薬品を溶解した人工淡水中でもマウンドレス型孔食は発生した。このときの人工淡水成分は,シリカ,硫酸,塩化物,重炭酸イオン濃度がそれぞれ40, 50, 10, 10 ppmであった。孔食部の表面分析結果によれば,孔食部入口は主にシリカからなる薄い膜で覆われていることが判明した。マウンドレス型孔食発生・進展メカニズムについて実験結果に基づいて考察する。

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© 2008 公益社団法人 腐食防食学会
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