日本国内では,錫-亜鉛めっき鋼板 (エココート®-T) が自動車燃料タンク用途に広く使用されてきた.しかしながら,重要保安部品でもある自動車燃料タンクの耐用年数の長期化に対応するため,著者らはめっきの凝固過程の制御により,錫-亜鉛めっき組織を改良してきた.新規開発した錫-亜鉛めっき鋼板 (エココート®-S) はめっき層中の亜鉛を微細分散させ,耐食性を飛躍的に向上させた.エココート®-Sはエココート®-Tとめっき組成は同じであり,自動車燃料タンク製造上必要な成形性・抵抗溶接性・塗装性において同等の性能を有することが確認できている.更には,エココート®-SはCO2削減を目的として使用が拡大するエタノール混合ガソリン,脂肪酸メチルエステル混合軽油といった代替燃料にも対応可能な環境調和型の燃料タンク材料である.