抄録
通信線路設備は,鉄鋼などの金属で構成されている.鋼より線の防食対策のために,Zn被覆が利用されてきた.しかしながら,海岸地域において,Zn被覆鋼より線の腐食が認められた.これは,海から飛来してくる海塩粒子が鋼より線の表面に付着することが原因であると考えられている.そこで,海塩粒子から防食するために,Znより耐食性の高いAlが用いられるようになったが,海岸近傍においてはAl被覆においても腐食が起こる事態となった.この現象は,従来の研究によれば,雨水を防ぐために巻かれているシーリングテープと鋼より線のすき間が原因とされている.日本は,海に囲まれた地理的条件下にあるため,最も効果的な被覆方法についての検討が求められる.そこで,3種類の被覆を施した鋼より線を,23年間三宅島において暴露試験を実施することにより,有効な防食対策について検討を行った.