抄録
高応力条件下におけるNi基溶接金属Alloy 182と低合金鋼境界部でのSCCき裂進展挙動を調査するため,ノッチ付き試験片を用いた中型CBB試験法を開発し,試験片に発生する応力場について弾塑性応力解析を用いて評価した.き裂先端場での応力条件の評価には塑性変形の影響を考慮し,J積分を基にした等価応力拡大パラメーターKJを用いて評価した.試験片表面にノッチを導入することにより,平滑材に複数き裂が発生する場合よりも高KJ値条件下でのCBB試験が実施できる.また,ノッチ深さやノッチ先端曲率半径を変更することにより任意のKJ値でのき裂進展試験が可能である.1つの試験片に形状が異なるノッチを複数導入することにより,複数のKJ値条件でのき裂停留挙動を一度に調査できる.したがって,中型CBB試験においてノッチ付き試験片を用いることで,中型CBB試験の汎用性を損なうことなく,高KJ値条件でのき裂進展試験が可能となる.