材料と環境
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解説
溶融塩電析法による耐酸化Niアルミナイド・コーティング膜の形成
福本 倫久原 基
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2012 年 61 巻 3 号 p. 80-84

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抄録
溶融塩を媒体としたAlの電析により,Niアルミナイド層をNi基板上に形成した.Alは,1023 Kの3.5 mol% AlF3を含む等モル組成のNaCl-KCl中で定電位分極法を用いて電析した.電析層は,Ni2Al3により構成されていた.電析層を形成したNi試料の耐高温酸化性は,著しく改善された.さらに,耐サイクル酸化性を改善するためにZrを少量含むNiアルミナイドの形成をZrの電析をした後にAlの電析を施すことによって試みた.その結果,Ni2Al3からなる層と,この上にZrを含むNiアルミナイド層が形成出来た.さらにZrの電析条件を変えることにより表面部に生成したZrを含むNiアルミナイド中のZr濃度は変化した.サイクル酸化試験は,Al電析のみを行ったNi試料では,スケールの剥離に伴う質量減少が起こるのに対し,Zrを少量電析し,Al電析を行った試料では質量減少が起こらないことを示した.さらに,電析回数を減少させるために,ZrとAlの同時電析を試みた.その結果,AlとZrの同時電析が,溶融塩中のZrF4の量を減少させることによって達成されることがわかった.3.5 mol% AlF3と0.05 mol% ZrF4を含む溶融塩中で形成されたNiアルミナイド層は表面部に少量のZrAl3粒子を含み,高い耐サイクル酸化性を示した.
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© 2012 公益社団法人 腐食防食学会
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