材料と環境
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論文
SUS316Lステンレス鋼の孔食電位および孔食成長挙動に及ぼす金属イオンの影響
礒本 良則松尾 慎也
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2012 年 61 巻 5 号 p. 213-218

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抄録
SUS316Lステンレス鋼の孔食電位を測定するために定電位法が用いられ,JIS G 0577で基準化されている動電位分極法と比較された.試験条件は試験温度300および323 K,110 ppm以下の金属イオンを含む0.008〜1 M塩化ナトリウム水溶液である.塩化物イオンおよび温度の上昇によってSUS316L鋼の孔食電位は低下した.孔食電位の試験結果は定電位法と動電位分極法の間で一致した0.08 M塩化ナトリウム水溶液中の金属イオンの存在はSUS316L鋼の孔食電位に大きな影響を与えた.孔食は定電流法により鋼表面から成長させられ,孔食断面で観察された.結果として,低い電流密度,あるいは塩化ナトリウム水溶液に添加されたMn2+,Cr3+が孔食の断面の縦横比を変え,より深い孔食成長を促進させることが分かった.孔食発生および成長機構がこの研究で議論された.
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© 2012 公益社団法人 腐食防食学会
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