抄録
プラントエンジニアリングにおける腐食シミュレーションの活用状況について,適用の背景や解析手法,有効性について概観した.その結果,腐食シミュレーションは材料の耐食性の評価,運転条件の変更に伴う腐食性への影響評価,腐食性の高い部位の特定などを目的として用いられていることが示された.
さらにガス生産設備におけるCO2腐食に腐食シミュレーションを適用した事例について検証した結果,適用するシミュレーターの種類によって得られる結果が異なるケースがあり,これは入力データの種類や計算アルゴリズムの違いによると考えられることが確認された.
これらの考察を通して,腐食シミュレーションは腐食解析における強力なツールである一方で,使用者に腐食現象に関する十分な知識がないと計算によって得られた数値だけが独り歩きするといった問題点があることが指摘された.