抄録
関東平野南西部の丹沢山塊において,酸性霧はモミの立ち枯れに甚大な影響を及ぼしている.この酸性霧の金属腐食への影響を検討するため,丹沢大山と都市域の横浜において,亜鉛めっき鋼とステンレス鋼試料の3か月ごとの腐食進行を観察した.また,酸性霧組成を模した疑似酸性霧をチャンバー内で同様の金属プレート試料に暴露することで,腐食要因について検討した.この結果,亜鉛めっき鋼は,酸性条件下で塩化物イオン濃度が増大するほど腐食の進行が促進された.一方,ステンレス鋼では塩化物イオンを含む中性溶液だけでも腐食は進行するが,酸性条件にすることにより更に腐食が進行した.