抄録
182合金と希釈模擬材および低合金鋼(LAS)の溶接界面近傍でのき裂進展挙動をCBB(Creviced Bent Beam)試験により調べた.この研究の主な目的は,182合金からLAS側へのき裂進展の力学的影響を調べることである.溶存酸素8 ppmのBWR(Boiling Water Reactor)水を模擬した288℃で2000時間のCBB試験を実施した.力学条件の整理については,弾塑性力学解析より得られるJ値から換算される等価応力拡大係数KJ値を用いた.厚さ2 mmの小型CBB試験片では希釈模擬材SCCM21-4(20%Ni,4%Cr)までは182合金との境界を越え希釈模擬材に侵入するが,低合金鋼に近い側の希釈模擬材SCCM21-5(10%Ni,2%Cr)では界面を超えて侵入することはなくなった.一方、厚さ10 mmの中型CBB試験片では、き裂はKJが80 MPa・m1/2以下の界面で停留した.