擬似体液中における純ZrとZr二元合金の腐食挙動を評価した.純Zrの動電位アノード分極試験において孔食発生がみられたが,孔食電位は316Lステンレス鋼より大幅に高い値であった.十分な濃度でTi,Nb,AuとZrを合金化した試料では,純Zrより高い孔食電位を示したことから,これらの元素は耐食性の向上に寄与することがわかった.一方,Cuとの合金化では孔食電位が大幅に低下したことから,耐食性の悪化につながることが明らかになった.これらの結果から,純Zrは十分な耐食性を有しているが,塩化物環境で使用する合金の設計時には,十分な注意を要することがわかった.