本解説では,X線光電子分光分析(XPS)装置およびオージェ電子分光分析(AES)装置を各種金属カチオンが存在する0.5 kmol m-3 H3BO3/0.05 kmol m-3 Na2B4O7でアルミニウム合金上に形成した不働態皮膜の構造解析への適用例を紹介した.硬い柔らかい酸・塩基(HSAB)理論より計算されるカチオンの硬さ,Xにより金属カチオンの影響を整理出来る.XPS測定よりXが4以上の金属カチオンは,不働態皮膜外層に存在していることが示された.AESにより微小領域を観察しながらの分析結果についても紹介した.