抄録
本研究は,二相ステンレス鋼のすき間腐食成長時の溶解挙動を明らかにすることを目的とした.二相ステンレス鋼を所定の電位に定電位保持し,すき間腐食を成長させた.一定時間経過後,すき間内の腐食部を観察し,その溶解挙動を解析した.また,in-situ観察によって,すき間腐食成長挙動の経時変化を追った.すき間内の腐食部は,外縁部から中心部へ向かって,すなわち進展先端部から起点部に向かって,不働態保持領域,γ相優先溶解領域,そして両相溶解領域を経てα相優先溶解領域へと遷移するという,4つの領域に区別でき,この腐食形態を維持しながらすき間外縁部に向かい成長した.このような溶解挙動はすき間腐食が発生した全ての保持電位において同様に観察された.