2017 年 66 巻 6 号 p. 209-213
大気環境下での低温における応力腐食割れ(SCC)挙動に対する鋭敏化,相対湿度(RH)および塩化物濃度の影響を,受入れまま(冷間加工)および鋭敏化された304鋼のUベンド試験片を用いて調べた.試験片上にNaClおよびMgCl2を乗せ,それを40〜70%RH,40˚Cの恒温恒湿槽に720時間保持した.その結果によると,304鋼は湿度および塩化物濃度が増加するほどSCC感受性が強くなった.SCC発生に対して,MgCl2はより効果的であったが,NaClはほとんど効果がなかった.鋭敏化された試料では,小さな枝分かれを伴う深いき裂が観察され,き裂は粒界を伝播した.