大気腐食環境における球状黒鉛鋳鉄,炭素鋼および耐候性鋼の初期腐食挙動の差異に着目し,大気暴露試験と乾湿繰り返し試験を行い,球状黒鉛鋳鉄の黒鉛やCuが初期腐食挙動に及ぼす影響について検討した.2年間の大気暴露における球状黒鉛鋳鉄の平均腐食深さは,炭素鋼よりも小さく,耐候性鋼と同程度であるのに対し,球状黒鉛鋳鉄の初期腐食は,温湿度や飛来海塩量によらず炭素鋼や耐候性鋼に比して早期に進行する.乾湿繰返し試験での初期腐食試験の結果では,球状黒鉛鋳鉄の腐食起点には耐候性鋼と同様にCuの析出が観察された.また,本研究で得られた知見に基づき,球状黒鉛鋳鉄の初期腐食機構の概略図を示した.