2021 年 70 巻 4 号 p. 122-125
硫酸塩水溶液環境において,Mgイオンが炭素鋼の腐食に及ぼす影響を乾湿サイクル腐食試験及びサイクリックボルタンメトリー(Cyclic Voltammetry:CV)により検討した.腐食試験結果から,Mgイオン添加硫酸塩溶液では腐食量が抑制傾向にあること,断面分析から鋼材/錆界面にS濃化錆層が存在することが判明した.一方CV測定ではMgイオン添加硫酸塩溶液のみサイクル数の増加に伴い特定の電位でカソード電流値の増加が認められた.これらの結果から,硫酸塩水溶液ではMgイオン添加により錆の還元反応が促進され,この層にSが濃化することで保護性を発揮し,腐食を抑制したものと推定された.