材料と環境
Online ISSN : 1881-9664
Print ISSN : 0917-0480
ISSN-L : 0917-0480
論文
SUS304のすきま内pHと金属溶解速度に基づく再不働態化過程の考察
野瀬 清美松橋 亮梶村 治彦宮本 浩一郎吉信 達夫
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 70 巻 4 号 p. 131-139

詳細
抄録

二段定電位分極のすきま腐食試験と半導体化学センサによるすきま内pH(pHc)の同時測定をおこない,電流密度とpHcの時間変化から,人工海水(ASW),1/10ASW中のSUS304の再不働態化機構について検討した.

すきま腐食の全金属溶解電流密度(imetal)は,外部で検出される電流密度(iout)とすきま内で完結する内部水素発生腐食 (iin)の和で示される.すきま腐食が十分進展した状態のioutとpHcは良い相関関係を示した.iinが多いほどH+の消費量が増え,pHcの上昇に伴い再不働態化しやすくなる.再不働態化pHはASW,1/10ASW中ともに2.5~3.0であった.電流密度の閾値(10-5 A・cm-2)およびpHcと電位の関係から求めた再不働態化電位(ER)は,ASW中で80 mV(SHE),1/10ASW中では120 mV(SHE)と外部環境のCl濃度が低いほど貴な電位となった.これはimetalに占めるiinの割合が多く,H+の消費量が増加すること,さらにanolyteの拡散・希釈も加わることで再不働態化しやすくなるためと考えられる.

著者関連情報
© 2021 公益社団法人 腐食防食学会
前の記事
feedback
Top