飛来海塩環境における鋼構造物において,滞水しやすい部位や結露などにより乾湿環境に曝される部位に重度の腐食損傷が生じている.これらの腐食は,複数の塗膜傷部が水膜により電気的に短絡することで,相互干渉しながら進行することが多い.本研究では,近接する2つの塗膜傷を模した試験体を大きい側の塗膜傷部の電極を分割することで製作し,その塗膜傷領域内に相当する鋼素地の腐食電流を測定した.また,この傷部の鋼素地と近接する傷部の鋼素地間のマクロセルの腐食電流を測定した.この結果から,滞水と乾湿繰り返しの環境で近接した塗膜傷部の鋼素地間の腐食特性を明らかにした.