2023 年 72 巻 1 号 p. 22-30
太陽光発電設備の主な基礎構造は,鋼製杭基礎である.その腐食速度は,土壌によらず年間0.02 mmとされるが,土壌により腐食速度は異なると考えられる.本研究では,土壌粒径が土壌腐食に与える影響を調査することを目的に,土壌の粒度分布や空隙率などの測定による腐食環境の推定と土壌を電解質とする交流インピーダンス測定によって,各土壌中の電荷移動抵抗測定を行った.
均一な球体であるガラスビーズであっても,最密充填構造は取らず,ガラスビーズの空隙率は粒径によらず,ほぼ一定になった.また,粒度分布を持つ土壌の空隙率もほぼ一定であるが,50μm以下の粒子を多く含有すると,空隙率は増加した.同じ粒度分布を持つ土壌の空隙率は,調製した含水率によらず,ほぼ等しくなった.このことから,土壌の含水率の変化は,空隙内で液相と気相が置換されることで起こることが示唆された.炭素鋼の土壌腐食は,炭素鋼表面と液相が接している部分で進行すると考えられ,土壌中の気相の割合が低下すると電荷移動抵抗も小さくなることがわかった.このことから,土壌粒子の粒度分布と含水率から電荷移動抵抗を推定できる可能性が示唆された.