2024 年 73 巻 10 号 p. 234-243
種々のpHに調整したNaCl水溶液中におけるWC-Ni-Cr-Mo系超硬合金の基本的な耐食性を電気化学測定,表面観察および溶液分析によって調査した.酸性環境では,WCは不働態化し,バインダが主に溶解する.中性環境では,腐食電位および0.5 Vより低電位域において,CrおよびNiが不動態化し,またWCも不働態化するか溶解するもののその溶解速度は遅いが,電位が高くなるとバインダ中のCrの過不働態溶解とWの溶解が生じる.塩基性環境では,中性環境と挙動は似ているが,WCの溶解が低電位域から生じる.