材料と環境
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AEは腐食研究に対して役立つ技術か?
原波形解析による環境劣化のダイナミックス
竹本 幹男
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2004 年 53 巻 11 号 p. 511-519

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抄録
本稿は, 遅れ破壊や応力腐食割れ (SCC) の AE原波形解析に関する著者の研究結果をレビューし, AEは腐食研究にどんな貢献をなしてきたかを議論する. 高強度や低強度鋼の水素誘起割れにおける微視われのダイナミックスや進展がAE信号の逆解析すなわち原波形解析によって定量的に明らかにされた. しかし, これまで提唱された理論や仮説で, 低強度鋼の水素膨れで見られる極端に早い破壊や内部膨張を説明できるものはないように思われる. オーステナイステンレス鋼の粒内SCCはAEを発生せず, 金属の活性経路に沿うアノード溶解を示唆した. 一方, 溶液中や溶融塩中における粒界SCCはAEを発生した. 環境劣化割れのメカニズムを研究するためには, AEと電位ノイズ解析などのハイブリッド技術が必要である.
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© 社団法人腐食防食協会
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