抄録
地熱エネルギーは化石燃料と異なって二酸化炭素 (CO2) をほとんど放出しないため, 地球環境保護のために望ましいエネルギー源の一つである. 地熱流体中には腐食性化学種が多量に含まれており, 応力腐食割れ (SCC) などの腐食にまつわる問題を引き起こすことがある. 従って, 地熱発電プラントの経済的かつ効率的な利用のためには, 機器に使用される材料の耐食性の評価が不可欠である. 本研究では, 地熱タービン用の翼材 (13%Crおよび16%Cr-4%Ni鋼) およびロータ材 (1%Cr-Mo-Ni-V鋼) について, 地熱環境を模擬した二酸化炭素, 硫化水素, 塩化物イオンおよび硫酸イオンを含む腐食溶液中にWOL試験片を浸漬することによりSCCき裂進展の挙動を調べた. その結果, 供試材のSCCき裂進展速度da/dtおよびSCC下限界応力拡大係数KI SCCが求められた. 13Cr鋼は本研究の腐食環境では比較的低い応力拡大係数においてもき裂進展を示したが, 熱処理条件を改良した翼材16%Cr-4%Ni鋼はき裂進展が認められなかった. またロータ材として使用されている1%Cr-Mo-Ni-V鋼も優れた耐SCC性を示した.