抄録
不飽和ポリエステル樹脂の耐食性に及ぼす架橋密度の影響を検討した. 架橋密度の異なる不飽和ポリエステル硬化物を, 水および水酸化ナトリウム水溶液に浸せきした. 水の拡散については, 樹脂の重量増加が浸せき時間の平方根に比例したため, Fickの法則を用いて拡散係数を算出した. 架橋密度が大きくなるほど拡散係数は小さくなった. 一方, 水酸化カリウムによる腐食では, 試験片表面に均一な厚さの腐食層が形成した. 腐食深さは, 浸せき時間に対して一次の関係で増加した. この直線の傾きを腐食速度と定義すると, 架橋密度が大きくなるにしたがって腐食速度も大きくなることが明らかになった.