我が国では, チタンが高レベル放射性廃棄物地層処分用オーバーパックの候補材料の一つに挙げられている. オーバーパックは, 長期間地層処分後には, 還元性のベントナイト接触水によって腐食されると推定されている. 本研究においては, 大気中生成皮膜を有するチタンを模擬ベントナイト接触水中でカソード分極したときに皮膜に生じる光学的および組成的変化をエリプソメトリーおよびXPSで調べた. 電位を下げていったとき, 屈折率, 消衰係数および膜厚の中で屈折率の変化が最も早く生じる. これは皮膜中のTi4+イオンがTi3+イオンに還元されるためである. 屈折率の変化が生じる電位から判断すると, 35~75%RHの大気中で形成された皮膜の内, 75%RH大気中生成皮膜がカソード分極による変質に対して最も抵抗性が高いと考えられる.