電子装置を設置した環境の腐食性を評価するために, その場測定型腐食センサ, および電気抵抗型腐食センサを開発した. その場観察型腐食センサは, 薄膜金属とその腐食生成物との色調が異なることを利用して, 特別な分析機器を必要とせずに薄膜金属の腐食量を半定量化できる. また, 電気抵抗型腐食センサは, 対象となる金属薄膜が腐食するにつれて電気抵抗が変化することを利用して, 薄膜金属の腐食量を精度よく連続測定できる. 本報告では, 電子材料として多用されている銀に注目して, 銀薄膜からなる腐食センサを試作した. まず, 腐食センサの銀薄膜と従来の銀板試験片の腐食挙動を比較検討した. 混合ガス環境において銀薄膜は, 銀板試験片と同じメカニズムで腐食したことから, 腐食センサは銀板試験片に代わって腐食環境における銀の腐食厚さを測定できることがわかった. さらに, 腐食センサにより重工業プラントの電気室環境, および一般オフィス環境の腐食性を評価した. その結果, その場観察型腐食センサは強腐食性環境を, 電気抵抗型腐食センサは弱腐食性環境を評価するのに適していることがわかった. 以上より, 腐食センサは電子装置の設置環境の腐食性を評価するのに有効なセンサといえる.