抄録
軟質基材金属上に堆積された硬質膜の破壊強さを評価する新しいハイブリッド法を提案する. 方法はアコースティックエミッション (AE), 腐食電位揺動 (CPF) と有限要素 (FEM) 解析を使用する. AEとCPFデータはpH=4.0のフタール酸溶液に浸漬されたTiN膜へのビッカース圧子押込み中に同時計測され, リップルクラックの数や距離の決定に使用された. AE装置は, 斬質基材SUS304の曲げによって誘起される引張り応力によるモードI型リップルクラックからのラム波AEを検出した. 早いシフト速度とAE信号を持つRD型のCPFイベント数はリップルクラックの数とよく一致した. 非線形FEM解析は, 圧子接触境界のやや外位置におけるモードI型クラックの発生を明らかにし, 膜の破壊強さを予測できる.