2005 年 54 巻 4 号 p. 146-151
浄水場へ流速1.8m/sで河川水を導水する, 40年使用し, 塗装が部分的に劣化してさびこぶが形成された鋼製水路に対して, 外部電源方式によるカソード防食を適用した. この試験では, カソード防食によるエレクトロコーティングの形成と, 電位分布および分極挙動におよぼすエレクトロコーティングの効果について調査した. 試験は, はじめの143日間はカソード電流密度10mA/m2を, その後の140日間は25mA/m2を通電して行った. 10mA/m2の場合, 防食時の電位および電位分布に経時的な変化はなかった. 一方, 25mA/m2の場合には, 電位は時間とともに低下し, 電位分布は均一化した. 試験終了後には, さびこぶの表面と内部にエレクトロコーティングの形成が観察された. エレクトロコーティングが形成され, 電位分布が均一化するなどの効果が認められたことから, 本鋼製水路内面にカソード防食を適用可能と結論づけた.