兵庫県篠山市の丹波黒大豆定点ほ場の生育収量調査結果を活用し,丹波黒大豆の収量成立に関する知見を得た.まず,2010年の生育に関する形質と着莢に関与する12指標との相関を調べたところ,根重と12指標との間に有意の正相関が多く見られた.さらに,根重と地上部重との間に1%水準有意,地上部重と総莢数,総莢重との間にも5%水準有意の正相関が見られた.この正相関は単年度平均値を累年9ヶ年(2002〜2010)で比較した場合も同様に見られた.また,同一生育環境で根を増やすと地上部重,総莢数,総莢重が増加した.次に,簡易土壌水分計を用いて2010年の土壌水分と生育収量の関係を調査した結果,夏季の土壌水分が適正水位だと着莢が多く,多収となり,干ばつだと着莢が少なく,低収となった.ところが適正水位でも低収のケースがあり,原因は不適正防除による害虫多発,培土作業の不十分やそれに伴う生育不良であった.したがって,丹波黒大豆栽培では根量を増やすこと,夏季の土壌水分の適湿を保持すること,基本管理を励行することが収量確保のポイントとなると考えられた.