作物研究
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総説(シンポジウム)
病原菌のアキレス腱をターゲットとした病害防除戦略
池田 健一
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ジャーナル オープンアクセス

2012 年 57 巻 p. 61-66

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抄録

病害防除においては,抵抗性品種の崩壊や薬剤耐性菌の出現など多くの困難に直面する.持続的な病害防除を実現するためには,病原菌の感染戦略や生存戦略を理解し,効果的な防除手段を多数用意する必要がある.植物病害抵抗性遺伝子は病原菌の侵入を感知する受容体として機能している.しかし,植物に認識される因子は病原菌にとって必須ではない場合が多く,その因子を変異させることにより容易に抵抗性品種の崩壊が起こると考えられている.病原菌が病原力を発揮するために必要不可欠な因子-言わば病原菌のアキレス腱部位-を認識できる病害抵抗性遺伝子を選抜育種あるいは進化分子工学的手法により創出することができれば,持続性の高い防除が実現可能となる.

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© 2012 近畿作物・育種研究会
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