抄録
気候変動への対処は,人類の繁栄をかけた喫緊の課題である.作物栽培学の貢献としては,温室効果ガスの削減による気候危機抑止と,振れ幅が大きくなった気象条件にも柔軟に対応できるような技術開発が想定されよう.本稿では著者らが取り組んできた萌芽的な栽培技術について,先行する技術と対比しながらその背景を議論する.まず,気候危機の抑止への貢献として,ウルトラファインバブルを用いたメタン削減の可能性を述べる.次に,気候変動に伴って増加すると予想される洪水と干ばつの連続発生に対処しうる混作技術について説明する.そして最後に,水田転換畑におけるダイズ栽培を例として,気候変動が進んだ近未来における栽培技術の可能性を考えてみたい.