抄録
植物は,必須栄養元素リン(P)を主に根から無機リン酸(Pi)として吸収する.Pi欠乏時には,Pi枯渇応答(PSR)と呼ばれるPiの獲得と利用効率を高める生理・形態変化を誘導するとともに,共生微生物を利用してPi獲得も進める精巧なシステムを進化させてきた.共生微生物には作物の生産性・機能性を向上させ,省施肥・省農薬など環境保全型農業のシーズとしての期待が集まっている. 本稿では,植物のリン枯渇環境への適応戦略に焦点を当てながら植物の免疫や共生の制御機構に関して議論するとともに,私たちが同定したイネの根に共生する植物成長促進細菌に関する共生制御機構の研究や農業への応用に向けた取組みを紹介する.