抄録
大腸菌および枯草菌に対する玄米エタノール抽出物の抗菌活性を,黒米,赤米,白米(普通米)の各品種で評価した.寒天拡散法において,黒米および赤米の玄米エタノール抽出物は,両菌種に対して明らかに用量依存的にブロッキングサークルを形成したが,白米のエタノール抽出物は形成しなかった.また,寒天平板希釈法における最小発育阻止濃度から,黒米と赤米のエタノール抽出物は両菌種に対して抗菌活性を示した.この方法では,全体的に枯草菌よりも大腸菌に対してやや強い活性を示した.アントシアニン含量が高い朝紫(黒米)は,より強い抗菌活性を示した.黒米と赤米の糠層からの抽出物は,OD(660nm)を測定する比濁法で強い抗菌活性を示した.一方,同じ品種の精米抽出物はかなり弱い活性を示したことから,黒米や赤米の糠層には有効な物質が多く存在する可能性が示唆された.このことから,黒米・赤米の抽出物を抗菌剤として食品加工に利用できる可能性が示唆された.