日本教科教育学会誌
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大学生・専修学校生および小学生を対象にした「死の教育」の授業実践と評価に関する研究
木村 正治
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1992 年 15 巻 4 号 p. 159-167

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抄録
小学校5・6年生を対象に,「別れ」「死・死との対決」「老人と加齢」の3コマ,大学生・専修学生を対象にバイオエシックスのテーマを中心に8コマの「死の教育」の授業実践を行った。「死」のテーマが,学習者には新鮮な興味をもって迎えられた。真剣に授業に取り組んだ様子が各授業後の感想文からも推察された。授業後は,死を必然とし合理的に捉えようとする者が増加し,死を忌み嫌う態度の者は減少した。また,大学生・専修学校生では,死を思索するテーマとして重要視する態度の者が著しく増加した。自己の死に対する不安・恐怖の程度をTemplerのDASテストおよびその変法によって評価したところ,授業後は,授業前に比較して平均値の減少がみられたが,有意差はなかった。全体的にみて死の不安・恐怖が軽減したものの,その効果は不十分であったといえよう。個々人のDASの変化をみると,増加したものも20%〜30%の割合に認められた。
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© 1992 日本教科教育学会
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