日本教科教育学会誌
Online ISSN : 2424-1784
Print ISSN : 0288-0334
ISSN-L : 0288-0334
陸上運動としてのリレー学習の適時期について : 中・高学年児童を対象として
伊藤 克仁後藤 幸弘辻野 昭
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 17 巻 1 号 p. 11-21

詳細
抄録

加速の認識が可能となる小学校3年生から6年生児童を対象に,リレーの授業を11時間行い,技術の伸びと認識の変容の面から学習効果の学年差を検討し,陸上運動としてのリレー学習の適時期を明らかにしようとした。その結果,リレータイムの伸びは3年生で最も大きく高学年ほど小さくなる傾向を示したが,3年生ではリレーの運動課題である「速さつなぎ」の指標としての利得タイムをプラスにできなかった。一方,利得タイムでみた学習効果は高学年ほど大きく,リレータイムを疾走能力の改善によるのではなくバトンの受け渡し技術の向上によって伸ばしていることが認められ,高学年児童ほどリレーの技術特性に触れていると考えられた。また,いずれの学年もリレーに対するイメージを学習によって高めることができたが,中学年児童ではリレーをゲームとして楽しむ傾向が認められたのに対し,高学年児童ではリレーの技術特性に触れてイメージを高めていることが認められた。さらに,6年生では技術内容を理解している者ほどバトン受け速度が高い傾向がみられ,認識と技能の間に対応関係が認められた。以上のことから,「速さつなぎ」を課題とするリレーの学習は,4年生以降で可能であるが,6年生が適時期であると考えられた。

著者関連情報
© 1994 日本教科教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top