日本教科教育学会誌
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第2言語学習のストラテジー(I)
松本 和子
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1995 年 18 巻 1 号 p. 1-8

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抄録
第2言語学習研究における近年の学習者中心のコミュニカティブ・アプローチの隆盛と共に,特に過去数年間に急速な成長を遂げたのが,学習者が第2言語の学習プロセスにおいて用いる学習ストラテジーに関する研究である。学習ストラテジーは,情報の獲得,蓄積,活用等のために学習者がしばしば意識的に使用する手順あるいは手段と定義づけられ,効果的なストラテジー使用は,能率的な学習を可能にし,第2言語能力の向上を助けるものである。学習ストラテジーの分類に関しては,今日,研究者間にコンセンサスが見られない。例えば,O'Malley & Chamot (1990)の分類法におけるストラテジーは,メタ認知的ストラテジー,認知的ストラテジー,社会的・情意的ストラテジーの3極,Oxford(1990)の分類法におけるストラテジーは,記憶関連ストラテジー,認知的ストラテジー,代償的ストラテジー,メタ認知的ストラテジー,情意的ストラテジー,社会的ストラテジーの6種である。学習ストラテジー研究においてこれまでに用いられてきた主要な内観的研究方法は,アンケート法,インタビュー法,ダイアリー法,思考音声化法の4種である。学習者のストラテジー使用に関するより正確且つ妥当なデータを得るためには,複数の研究法を使用することが重要,不可決である。
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© 1995 日本教科教育学会
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