日本教科教育学会誌
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英語教育における「文学的文学教材」を開発するための理論的考察 : 等価性の原理,内的逸脱,外的逸脱に焦点を当てて
西原 貴之
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2005 年 28 巻 3 号 p. 43-52

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抄録

文学教材の開発は,改作の問題と関連づけて議論されてきた。改作は原作の持つ「文学的」特徴を減じ,文学教材はもはや文学として機能しないという問題があるが,このことを解消するような研究はなされてきていない。本研究では,文学として機能する教材を「文学的文学教材」と名づけ,その開発方法を論考する。「文学的」という概念を定義した後,等価性の原理と内的逸脱,外的逸脱という「文学的」言語構造を取り上げ,これらが「文学的文学教材」を文学として機能させる上で重要であることを確認する。次にこれらの言語構造が,学習者の第2言語学習を促すことを指摘し,教材としての機能にも貢献することを指摘する。最後に「文学的文学教材」を開発するための方法として,等価性の原理と内的逸脱を組み込むこと,外的逸脱は学習者の熟達度とその教材の使用方法を考慮した上で組み込みを判断すること,を提案する。

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