日本教科教育学会誌
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大学の授業改善に伴う学生の自己評価の変容の分析 : 教育心理学の授業を事例として
高垣 マユミ田爪 宏二
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2006 年 28 巻 4 号 p. 1-9

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抄録

大学における授業改善の1つの試みとして,授業に対する学生の自己評価を指標として検討を行った。心理学専攻の大学生60名を対象とした「教育心理学」の授業において,学生は毎回自己評価を行い,教授者はこれに基づく授業改善を行う,というサイクルを繰り返した。その過程で,(1)学生の授業に対する自己評価はいかに変容し,(2)授業に対する「満足度」,「理解度」は自己評価とどのように関連するのか,を検討した。本研究の結果,(1)授業改善のサイクルを実施することで,学生の自己評価は上昇した。(3)授業回数を重ねるにつれ,学生の授業に対する自己評価の中で,「満足度」,「理解度」を高める要因は,質的に変容することが明らかにされた。すなわち,a.授業回数の前半では,授業外での学習を動機づけることや,教授者の教授方法(視覚教材の提示方法,教室の環境等)を改善することが要因となる。b.授業回数の後半では,教育心理学の理論を将来の職業等に結びつけることや,課題を分析・評価するなどの応用を取り入れることが要因となる。

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