日本教科教育学会誌
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大学の講義における学生の学びを促す教授要因に関する探索的研究
高垣 マユミ田爪 宏二
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2007 年 29 巻 4 号 p. 29-35

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抄録
本研究では,心理学専攻の大学生60名を対象とし,毎回の講義において学生たちが教授者の教授要因に対する評価を行い,教授者はこれに基づき授業改善を検討する,というサイクルを繰り返した。その中で,学生の講義に対する理解度および満足度は,教授者の教授要因のどの側面によって高められるのかを検討した。本研究の結果,以下の点が明らかにされた。(1)新規の情報を獲得するときの認知的負荷を軽減させるストラテジーを使用することで,「満足度」が高まる。(2)学習課題をクリティカルに吟味したり,思考しながらノートに記録したりする学習方略を修得させることで,「理解度」が高まる。(3)教授者と学生が双方向の対話的な相互行為を行う参加者の構造において自己モニタリング機能を高めさせることで,「理解度」と「満足度」が高まる。
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© 2007 日本教科教育学会
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