抄録
本研究は,フィンランドの教員養成において求められる教育職能の実態を,クラフト科教育の教員養成事例から明らかにすることを目的とした。フィンランド2大学の教員養成学部,同附属小・中学校,公立小・中学校および国家教育委員会で授業観察やインタビューを行った結果,「教育内容の総合的な取り扱い」や,教科の「基礎的・基本的な学習と発展学習との関連づけ」を重視することによって適切な授業のねらいを定め,教材を構成する能力の形成を目指していた,また「非選別集団による学び合い」,「方法知の習得・探求型の学習」,「環境の整備」を考慮し,教師が授業の中で子どもの習得過程を効果的に創っていくことのできる能力形成を重視していた、このように,子どもの学びのプロセスに添い,違いを認めて集団の学びに活かすような授業づくりを可能にする教員養成の実態を確認した。