2011 年 33 巻 4 号 p. 11-20
公立小学校の2年生228名を対象に実施した「死についてのアンケート」の調査結果の分析とそれを基に,死に関する授業の学習プログラムの開発を行った。その後,2年生1クラス34名を対象に「自分と家族について考える生と死の学習」を4時間計画で実施し,介入研究を行った。1時間目に使用した学習教材2「○○さんにおくるラブレター2」では,20名の児童がうれしい気持ちをクラスメートに伝えたいと答えている。2時間目は事前調査で,児童がまわりにいる人を亡くしたときの気持ちを書いた18名の文章をオリジナル教材として「大好きな人が,死んでしまったら」という題材名で使用した。その結果,授業後に家族が死ぬことを意識する児童が7名から12名へと増えたことが認められた。また,授業の振り返りでは心に残った学習教材として,「大好きな人が,死んでしまったら」を7名の児童が挙げていた。悲嘆教育として使用したこの学習教材によって,クラスの友だちが身近な人を亡くした悲しみやくやしさを共有することができたのではないかと推察する。