抄録
本稿は,歴史意識を視点としたドイツの初等と中等の教科書の分析を通して,歴史学習における両段階の接続を考察することを目的とする。
教科書の分析から,各段階における歴史意識の形成過程の特色を明らかにし,その連続的形
成を考察した。この考察から,歴史意識の歴史性と社会性の各次元を相互に関連づけた意味形成に基づき,子どもの歴史に関する語りを段階的に精緻化するという歴史意識の連続的形成がなされていることを明らかにした。
本稿での考察から,日本の歴史学習への示唆を得ることができた。歴史意識の育成という学習目標が学習内容の接続も実現させていること,学習目標としての歴史意識は教授学的理論でなくてはならないこと,歴史学習固有の目標が両段階の接続を可能にする有効な方策であるという3点である。