抄録
2017年3月公示の新学習指導要領における中学校技術・家庭科技術分野の改訂内容をITEA/ITEEA や日本産業技術教育学会が提唱する技術リテラシー(技術的素養)の観点から検討した。その結果,技術分野の目標,内容の構成には,技術ガバナンス力育成と技術イノベーション力育成の両者がともに重視され,技術リテラシー(技術的素養)の概念が明確に位置づけられていることを指摘した。これらの考え方について技術科教員を対象に研修会を開催し,新教育課程に対する意識調査を実施した(n=80)。その結果,新学習指導要領と技術リテラシーの考え方との関連性については概ね高い理解が得られた。しかし,双方向性のあるコンテンツのプログラミングが追加された内容「D情報の技術」及び第3学年の最後に取り扱う「統合的な内容を含む問題解決」に対しては適切な教材の不足,指導時間数の少なさ等を理由に実践困難感を強く感じていた。これらの結果を踏まえ,新教育課程における授業デザインの方向性と実践上の課題について展望した。