日本教科教育学会誌
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原著
英語力格差解消を目指す「宿題」のあり方についての検討
佐藤 眞理子
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2025 年 47 巻 4 号 p. 1-10

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抄録

 本研究の目的は,宿題が学習者間の英語力格差解消にどう寄与しうるか,その潜在的な貢献の可能性について「自己評価の低い学習者への視点」から検討することを目指すとともに,宿題のあり方への提言を試みることである。全国の高等学校・大学に所属する学生599名,および,小学校・中学校・高校で英語の授業を担当している専任教員135名を対象に調査を行い,宿題実施の現状を明らかにした上で,学習者の「宿題の効果の実感」を分析した。その結果,学習者の自己評価のレベルが宿題の効果に有意な差をもたらすことが示されたが,実際の宿題指導にはその点が反映されにくいことが明らかになった。昨今宿題の主体を学習者・保護者に移行する流れが見られるが,宿題を英語力格差解消の一つの手がかりとして,英語教育全体の中で改めてその位置付けと意義を再考することを提案する。

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