2025 年 47 巻 4 号 p. 99-106
本稿では,変化の激しい現代社会において,子ども達が確かな力量とともに自らの責任のもとで自由を実質化しながら不確実性の中を歩んでいくことができるようにするうえで,本学会として具体的に何ができ得るのかを検討することを目的とした。検討にあたり,不確実性の高い世の中において,自ら歩みを進めることに困難を抱えてしまうような子どもの具体として,各教科学習において「苦手」を示す子どもの姿を示すこととした。また,こうした「苦手」な子どもに対する手立てとして,学習指導要領上の配慮に関する記載や,教材づくりにおける視点,また習熟度別・少人数制授業といった学習形態の工夫について具体例を挙げた。そのうえで,本学会としてでき得る可能性のあることとして,「苦手」な子どもに対する教育課程外の実践から教育課程内での手立てを導くこと,そして「苦手」を抱える子ども達自身に向けた書籍を発行することなどを提案した。