世界的なサンゴ礁監視調査であるリーフチェックをサンゴ礁がない高緯度(33ºN,135ºE)に位置する串本で実施するに当たり,調査対象として世界標準生物に串本独自の種を多数追加した。また,新たな調査目標として生物相の変化による地球温暖化の検出を掲げた。調査はリーフチェックと同様の方法で,2000~2024年にかけての25年間にわたって行われた。調査結果は生物,特に在来の南方系種の著しい減少を示した。また,温帯種の減少や非在来の南方系種の増加といった生物相の変化,すなわち地球温暖化の影響はほとんど検出されなかった。これらの原因としては,串本の浅海生物群集は地球温暖化よりも黒潮流路変動の影響を強く受けているためであると考えられた。