日本サンゴ礁学会誌
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原著論文
環境水中のSymbiodinium 細胞をモニターするための定量PCR手法
小池 一彦山下 洋大内 歩玉城 泉也林原 毅
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2007 年 9 巻 1 号 p. 1-12

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抄録
定量PCR (real-time PCR) 手法を応用し, 環境水中に存在する褐虫藻の定量を可能にするシステムを開発した. 全クレードのSymbiodinium の核18S rRNA遺伝子をターゲットとするPCRプライマーと, SYBR® Green Iを用いたインターカーレーター法により, 安価で簡単・迅速なアッセイシステムを構築した. フィルター上にトラップしたSymbiodinium 細胞からの簡便なDNA抽出方法とのコンビネーションにより, 水槽で飼育したAcropora digitifera によるSymbiodinium 細胞排出の日周性や, 天然海水中に出現するSymbiodinium 細胞の定量を試みた. Symbiodinium は細胞が小さく, 形態的な特徴に乏しいために, 従来の顕微鏡観察ではその同定・計数がほぼ不可能であったが, 上記の定量PCR法により, 環境水中のSymbiodinium 細胞の出現密度が簡便にモニターでき, また, その応用によって新たな知見が得られることが期待された.
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© 2007 日本サンゴ礁学会
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