抄録
石垣島東海岸3地域と石西礁湖内のシモビシにおいて、堆積物とその礁内海水の濁度への影響を調査した。堆積物中の細粒物質の定量には、大見謝 (1987) の底質中懸濁物質含量簡易測定法 (SPSS測定法) を用いた。宮良川などが流入する宮良湾のサンゴ礁の礁池の一部と水路部分、轟川河口から北側の海岸部にSPSS値の高い海域が見出された。一方、河川の影響が少ない安良崎、白保、シモビシでは全体的にSPSS値が低かった。サンゴ礁海水の濁度には、大局的にSPSS値との有意な相関関係が認められ、礁内での海水の濁度の成因が堆積物中の細粒物質の再懸濁であることが示唆された。SPSS測定法の定量精度は、簡易携帯型の濁度計を用いることで精度が向上した。この方法は、簡易環境調査のみならず、環境の悪化したサンゴ礁で重要なサンゴと藻類の競争現象に影響していると考えられる水中光環境の研究にも応用しうる可能性を有している。